toogee's blog【卒業2021】

「卒業2021」

 

2020年度卒業・卒園される方、おめでとうございます!!

 

昨年、2019年度の卒業生にとっては、2020年3月を悔やむ人は少なくなかったでしょう。

 

私の娘も幼稚園を卒園する年で、卒園式がなくなることになりました。

 

冬休み中にコロナウイルスの感染者がでたというニュースがあり、人事のように過ごしていましたが、連日恐ろしいほどのスピードで感染が拡大しました。

 

私の住む地域では、感染の確認はなかったものの、念のためということで、あらゆるイベント、行事が中止となりました。

 

幼稚園や学校なども、どう対応していいか分からない状況で大変だったと思います。

 

しかし、子どもや親からすると、感染者がでてもいないのに、全てのイベントを無しにするのはあんまりじゃないかと苦情が殺到したようです。

 

子ども達の交流も限られたものになり、親どうしの交流も許されない状況でした。

 

卒園間近で、いろいろなことを楽しみにしていた娘にとっては、いろいろな出来事が理解できず、受け入れることができなかったのではないでしょうか。

 

あっちに行っても制限、こっちに行っても制限。

 

休日も出かけることもできず、友達にも会えずの状況にストレスが溜まっていたのをとても感じていました。

 

そこにきて、卒園式をしないという幼稚園からの連絡。

 

親御さんたちも我慢の限界にきていたようで、幼稚園も対応に困ったそうです。

 

結局、卒園式だけは実施しようということで話が決まりました。

 

どういう形で行われるのかと、いろいろ不安はありましたが、結論は、個別の卒園式というやり方になりました。

 

部屋の真ん中に園長先生が待っており、個別に決められた時間内で卒園証書をもらい、園長先生やお世話になった先生から言葉を頂くという流れになります。

 

親と子どもは、車の中で待機し、時間になったら、幼稚園に入り、前の子と交代します。

 

初めて見る卒園式があまりにもイメージと違う上、入れる人数は、子どもと親1人だけです。

 

私と妻は、どちらが行くか決めれず、娘に決めてもらいました。

 

ママと一緒に行きたいというので、私は車の中で待機です。

 

ビデオ撮影も一緒に入る親がやらなければならず、全然落ち着かない様子でした。

 

 

無事に卒園式を終え、娘と妻が幼稚園から出てくると、娘は感動で泣いていました。

 

親の立場からすると、みんなこの卒園式の形に納得いっていないという話がたくさん聞こえていました。

 

子どもたちが可愛そうだとばかり思っていましたが、娘が涙を流し、泣きながら出てきた姿を見たときには、そういうことではなかったのかなと考えさせられました。

 

一番大事なのは、子どもたちの気持ちです。

 

娘にとっては、どういう形であれ、卒園という「けじめ」をちゃんとつけれたことが何よりも大事だったようです。

 

泣き終わるととてもすっきりした顔をしています。

 

後で妻から聞いた話ですが、卒園式を行う前まで、いろいろな家庭で子ども達に異変が起きていたようです。

 

春休み中なのに、「明日は幼稚園で何しようかな」とか、「誰々くんと遊ぶね」と言って一人遊びをしていたり、情緒不安定になったりと親が不安になるような話があちこちから聞こえてきたそうです。

 

そういう背景があり、なんとか卒園式をできないかと保護者会から幼稚園にお願いし続けて実現されました。

 

娘もずっとイライラしていました。乱暴な言葉使いになったり、暴力的になったりとあまりにもひどいので、叱ってしまうのですが、可哀そうな背景があるため、とても複雑な気持ちになります。

 

外出でもして気晴らしでもできればいいのですが、どこの店に行ってもガラガラの状態で遊びに歩く人は悪人扱いの見られ方をする状況にどうすることもできませんでした。

 

 

卒園式を終わらせてからは、子どもたちの異変もあまり聞かなくなりました。

 

「けじめ」をつけることはとても大事だと実感しました。

 

幼稚園の先生方には無理して頑張ってもらいました。

本当に感謝しかありません。

 

あれから、1年が経ちます。

 

コロナが落ち着くどころか勢いを増すばかりの状況に今年の卒園・卒業式はどうなるかなと心配になります。

 

私の子どもたちは対象ではありませんでしたが、昨年を経験しているだけに中止だけはしてほしくないなぁというのが本心です。

 

ニュースを見ているとどこの地域でも無事に実施されているようです。

 

しかし、誰にとっても思い通りにならなかった1年に全員が気持ちを抑えられない様子が見てわかるくらい辛い映像がたくさんありました。

 

修学旅行もなくなり、行事もなくなり、実施された行事もわずかな時間だけ。

給食中でさえ会話は許されず、撮られた写真もマスク姿ばかり。

 

泣きながら、先生方に感謝の気持ちを伝える生徒たち。

泣きながら、申し訳ないという気持ちが溢れすぎている先生たち。

 

誰のせいにもできない気持ちは、どうやって晴れるのか。

感動ではない感情の涙が見ていて辛くなりましたが、目をそむけることもできませんでした。

 

それでも卒園・卒業式をできたことは、子どもたちにとっては良かったことでしょう。

 

辛くても実施できたことは、素晴らしく喜ばしいことだと実感しました。

 

 

そのあとに流れたニュースは、今日も新規陽性者が増加しましたというものです。

 

「我慢できない」と街を歩く人たちに、この卒業式で涙を流す人たちを見てもらいたい。

 

大人が努力して、協力すれば、子どもたちを修学旅行に連れていくことができたかもしれない。

 

大人の好き勝手な行動で子どもたちの思い出を一つ、また一つと潰したかもしれないと考えると悲しい気持ちにしかなりません。

 

私も人のことを言えないかもしれませんが、飲食店を守らないといけないというニュースと子どもたちが行事をできないというニュースに温度差を感じます。

 

子を持つ親としては、子どもたちには少しでも有意義な時間を過ごしてもらいたいと思います。

 

子どもたちを大切にしたい。

みんなで守らないと当たり前にあった子どもたちの「現在」さえも守る事ができないことを理解しないといけない。

 

 

無事に卒業をすることができた皆様に「おめでとう」と伝えたいです。

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